暑い夏の昼下がり。

 少年、レイヤは、今夜決行することを決めた、たった1人の大イベントの最終確認を、部屋で行っていた。

 念入りな、調整を加えるたびに、扇風機の前に座っているというのに、自然と汗が流れる。

 「ふぅ…  完璧だ!」

 レイヤは、額にたまった大粒の汗を、腕でぬぐって、床に大の字で寝転んだ。

 その瞳は、不思議な輝きを持っていた。

 彼が、今夜行うこと、それは、露出散歩であった。

 しかも、そう生易しいレベルの露出ではなかった。

 彼の計画では、まず、夜の8時になった時点で、家から全裸で脱走し、学校までの約1.5キロを歩き、教室でオナニーをしてから、体操服を着て、帰るというハイリスク極まりない作戦であった。

 その行いによって、レイヤが何を得るわけでもない。 この発想自体が、いわゆる『若気の至り』というやつであろう。

 家を出てからの、通る道筋、行い、すべてのパターンを考慮したデータが、彼の頭には入っていた。

 その脳内コンピューターが、ようやく、GOサインを出したのだ、計画にミスはない。

 レイヤは、自分にそう言いきかせて、天井をぼんやりと眺めた。

 普段の彼は、どちらかといえば、優等生に含まれる部類の人間であったが、誰も、本当の彼の姿を知らない。

 作戦決行まで、あと5時間。

 レイヤは、もう1度、考えた。

 家から、まず公園に行き、用意しておいたハサミと髭剃りで、陰毛をすべて剃り落とす。

 それから、公園をつるつるになったチンチンをぶら下げ、全裸のまま遊ぶ。

 その公園は、近所では有名なハッテン場で、暗くなればゲイの人しか集まらないため、そこでならいくら見られたって問題はないだろう。

 そして人通りの少ない道をいって海に出る。

 浜辺の海岸線を歩いて、しばらく心を落ち着かせたら、今度は町外れのパン屋さんに行って、買い物をする。 もちろん、全裸のままだ。

 お金は、近くのブロックの下に隠しておいたし、店の店員は無口なお兄さんだし、大丈夫であろう、と判断した。

 閑静な住宅街を歩き、隠してある顔マスクをかぶり、少し大胆に、人通りの多い国道沿いを走る。

 もし追っ手が来ても、逃げ切れる自信は100%。問題はない。

 そして、学校までの最後の100mは、もしかしたら部活動を終えた生徒たちが出てくるかもしれないという、危険性がある。

 しかし、そこをあえて、後ろ手に手錠をしてどうどうと歩くという試練を自分に与えた。

 手錠の鍵は、教室に体操服と一緒に置いてあって、1度ロックしてしまっては、鍵がない限りは外す事が出来ない。

 そして、教壇の上に立って、オナニーをし、その大冒険にピリオドを打つ。

 ここまでの、危険極まりない作戦を立てておきながら、レイヤは、本気で成し遂げることが出来ると信じていた。

 

 そして、とうとう時間がやってきた。

 

 時計の針が8時を回り、レイヤは、部屋のドアを静かに開けた。

 言うまでもなく、この時点で全裸であるため、もう戦いは始まっているのだ。

 階下では、両親と妹が、テレビを見ている。 もし、トイレに行くためにリビングを移動することがあってはまずいため、レイヤは、3人のいるリビングに、聞き耳を立て、笑い声が3人揃っている事、そして、声の様子から、番組がいい所であることを読み取った。

 (いまだ!) レイヤは、忍び足で、階段を降り、リビングの前のドアを一瞬で通過して、あっという間に玄関に行った。

 家族に、それでも変わった反応がみられないことを確認し、サンダルを履いて、玄関を開けた。

 いくら全裸といっても、素足で歩くのは痛いので、サンダルは、おまけのようなものだった。

 家の前には誰もいない。 辺りの家の外灯がともっていたが、生物的動きをするものは、視野の範囲内では見当たらない。

 (よし、いいぞ!) レイヤは、辺りをうかがいながら、そっと家の敷地から裸体を出す。

 なんともいえない開放感と、罪悪感が入り混じり、心拍数が上がる。

 (おちつけ僕。 まずは、公園だ。)予想以上の胸のドキドキを抑えようとするが、どうもうまくはいかない。

 しかし、それにも慣れるだろうと自分に言いきかせ、力強い1歩を踏み出した。

 家から全裸で出るということは、自分を追い詰めるためであった。いくら、もう止めたいと、弱音を吐くようなことがあろうと、不可能な状況を、最初から作っておく。

 自分自身への、戒めのようなものだ。

 小走りで走ると、普段、股間ではパンツという布切れに包まれている性器が、思っている以上に左右に振り乱れる。

 普段では見られない、自分のおチンチンの一面。レイヤは、それを、かわいいと思った。

 (待ってろよ? 毛を剃って、もっとかわいくしてあげるから…)

 レイヤは、自分の性器にそう言いきかせる。 すると、それに答えるかのように、少し硬くなってゆくようであった。まるで、別の生き物のようだ。

 レイヤは、人差し指で、軽く勃起した性器をピンとはじいて、公園までの道のりを中腰で走った。

 

 

つづく