中2で、思春期を迎えはじめたジンは、最近では、何かに付けて、すべてのものが悩ましく感じられて、嫌であった。
友達と話していても、どこか自分にコンプレックスを感じたし、ご飯だって、あまりおいしいとも感じなかった。
ジンは、自分は特別なんだ、普通の少年ではないのだと、次第に思いつめるようになり、いつの間にやら、自殺願望というものを、心のうちに、秘めるようになっていた。
自分でも、一体何にそんなに悩んでいるのかも分からないような状態で、心は、まさに不安定であった。
そんなある時、学校のパソコンを使って、インターネットをしているうちに、ジンは、ある不思議なサイトとめぐり合ったのである。
「こ… これは… ?」ジンは、思わず、本気でデスクトップに表示された、文章に、目をやってしまった。
そこには、『○○県○○市○○公園AM0:00 誰か、嬲り殺されてもいいヤツ、出て来い!』と、乱暴な件名での、文章が書かれてあった。
某SM掲示板に偶然たどり着いた結果に、見つけたのだ。
ジンは、ドキドキする胸を、落ち着かせながら、読み進めた。
なぜなら、ココに書かれてある地名が、ジンの住む町そのものの名前であったからだ。
当然、この学校の生徒なら、SMとかに興味がなくても、地名からして、注目してしまうはずだ。
読み進めていくと、最後には、1人の少女の顔写真が添付されていた。

(この女の子が、人を殺したくて仕方がない… 娘か…)
見るに、ジンと、そんなに年齢も違わないであろう、10代の女の子であった。
割と、可愛く思える少女であった。
しかし、それにしても、不特定多数の人間が閲覧するであろうサイトに、顔写真と、地名を公開するなんて、いい度胸である。
顔写真が、本人以外のものであったとしても、なかなか、考えの浅い、無鉄砲な行為だ。
ジンは、ネット上にて、彼女のまいたエサに、何故か無性に、食いつきたくなった。
こちらも、あくまで興味本位であった。
しかし、ここのところは、常に、死の事を思っていたジンにとって、他人から殺害されるという感覚を、どうしても味わってみたくなったのだ。
あちらが馬鹿なら、こちらは大馬鹿。
ジンは、物の試しに、彼女の指定した場所に足を運んでみることを決めたのだった。
(ここか… )深夜零時。掲示板に書き込みをしていた少女の指定した、公園にまで、とりあえず来てみたジン。
「!!?」そのとき、まさに掲示板に乗せられていた、顔写真の少女を見つけた。
(ほ、本当だったのか…!)ジンは、高鳴る心拍数を抑えながら、あたかも、知らないフリを決め込んで、ベンチに座った。
とりあえずは、様子を見ておこうと思ったためだ。
それにしても、あの少女は、どこまで本気なのであろうか?
本気で人を殺すつもりでいるのか?
そう思うと、接触には、さすがに慎重になる。
少女は、服装からして、オシャレともいえないし、どちらかと言えば、パジャマのまんま、ぶらりと外に出てきていると言った感じであった。
家が近いのであろうか?それとも、服装にこだわらないだけなのであろうか?
ジンは、彼女を横目で観察しながら、いろいろなことを推測した。
その時であった。
「ん?」ジンは、思わず、自分の目を疑った。
あの少女に向かって、1人の少年が近づいていったのである。
少年は、ジンよりも1〜2まわり体が小さいように見えた。もしかしたら、まだ小学生なのかもしれない。
(まさか… あの子も… ?)
ジンは、思わず、ベンチから腰を上げ、自然な感じで彼らに近づいてゆき、聞き耳を立てた。

「アンタ… 死ぬ覚悟は?」
「出来てるよ。 お姉ちゃん… ぼくを、殺してくれるんだよね?」
「あぁ!殺してあげるよ!?可愛いボクちゃん♪」
(間違いない。やっぱり、コレは、現実のものなんだ!)
そう思った瞬間、ジンは、彼らに歩み寄り、開口一番に言った。

「お、おれも… おれも殺してください…!」
少女は、クスッと笑って、答えた。
「当然、誰も来ないモノと思ってたけど、こんなに若くて、嬲りがいのある人が出てくるなんてね!
しかも2人も!!」
少女は、品定めするかのように、ジンと、もう1人の少年を見つめながら、言った。
「ついて来て?アタシの家、すぐ近くなの!!」少女は、そう言い残して、1人で、すたすたと歩き始めた。
「・・・」ジンと、少年は、お互い目を見合わせた後、特に会話はなかったが、とりあえず、一緒に彼女に着いて行くこととした。
